修復をしている人はとにかく技術が一番大切だと思います。

どれだけうまく修復できるか。

まあ、直す技術なので、直すことさえ上手くできればいいのですが、最近思います。その先に必要とされるのは、やはり「陶磁器」の「美術品」をたくさん見て、そのイメージをできるだけたくさん頭の引き出しにいれておくこと。

そうすると、もうワンランク上の修復ができるのではと思う。

ですから、美術館・博物館にはなるべく足を運んで、いいものをじっと見ることをお勧めします。

見てもすぐ忘れちゃうんですけどね。

でも、忘れちゃいながらも頭のどこかに見たことが蓄積されてくんです。

それが修復するときに出てしまうことがあります。

特に形とか。

例えば急須の注ぎ口、まったくない部分を成形するとしましょう。

形は参考作品をもとに成形していくのですが、参考にするのは主に写真。似たような物が手渡されて・・・ということは皆無です。

写真からの情報はごくごくわずかにすぎない。こっちの角度からみたらどうなんだ。。。というのは非常にわかりにくい。

そこで、どうしても、普段見慣れているもの、が出てきてしまうんです。

だから、ああ、これは家にある急須の先っぽだな。
江戸時代初期の柿右衛門じゃないな。

となるんです。

そうならないためにも、普段からたくさんいいもの、ほんものを見ておくことが、ものすごく重要。

そう気づいたのは最近ですが。

形がOKでも、色、質感、透明感がダメだと、これまたダメなんですけどね。
(苦笑)

陶磁器修復は奥が深いです。