修復を仕事にしてきて20年になりますが、一番あせったことが、つい数週間前にありました。
それは…預かっていないものを「預けたから返しなさい。」という出来事。
その方からティーポットの修復のご依頼をいただいたのですが、本体に ヒビが入って茶色くなっているので、どうにかしたいということでした。
修復を進めるうち、ヒビではなく、ぱっくり割れていたため、修復不可(修復して使うのが難しいと判断)となったため、こちらから事情を説明して引き取りに来ていただくことになりました。
ティーポットなので蓋がありますが、通常、修復する必要のない付属品はお持ち帰りいただいております。こちらで預かって粗相をしてしまわないため。保管スペースが限られているため。です。
その方にもそうしたと思うのですが…「絶対置いて帰りました。」の一点張り。(困)
書類に、お持ち帰りいただきました。と書いてないことが、いけなかったのですが、なにしろ初めてそういうトラブルとなり…。
記憶というものは、時間とともに曖昧になると心底思いました。
蓋を返すと一筆書け…と迫られましたが、いやいや、預かってないものを返せと言われたら、弁償しなくてはいけません。探しますが、なければ相談させてくださいと、書かせていただきました。
数時間後…「家にありました〜オホホホ」とそのレディーから電話がありました。
正直、現場の者は対応に1時間ほど費やしたそうな。強い口調で怒られ(苦笑) ありとあらゆる収納場所を探してはみたそうです。そりゃ出てこないですわ。
お預かり書に、蓋を預かったとは書いてないので、預かってないはずと思いつつ、もしかするとこちらのミスもありうる。ただ泥沼になって法的に訴えられた場合、大丈夫かなと。そこまで覚悟しました。
法律では、残っている事実に基づいて判断をしていくと聞いたことがあります。
直接対応したスタッフに、「預かった、返す」という一筆を絶対書くなと指示。
幸い大きなトラブルに発展しませんでしたが、もしかして、将来は、わざとワナに陥れようとする変な人が来るかもしれません。
その時の予防と思えば、良い教訓になったかと思います。
それにしても強烈なおばちゃん…いや、レディーでした。
いやあ…いろいろな人がいますね。