今回、NHKカルチャー青山の企画で、東京都庭園美術館の香水塔と北の間タイルを見学するという特別講座を開催しました。
見学当日はあいにくの雨でしたが、第三水曜日はシルバーデーということで65歳以上の人は入場無料なんですって!その日と被っていたので混雑を心配していたのですが、雨のお陰でちょっと空いてて、じっくり鑑賞することができました。

まずは玄関入ってすぐ左、香水塔がお迎えです。

これが修復してあるという観点で見ていく人はかなり少ないかと思います。ぱっと見たら分からないです。
生徒さんたちにも、まずは、庭園美術館の香水塔に関する歴史について説明しました。香水塔と呼ばれる前は、噴水器と呼ばれていたこと。噴水ですから、水がどこから出て、どこを伝って流れていったのか…そういうことって説明聞かなければ、分からないですよね…。
修復部分に関しては、とりあえずは何も説明しないで、自分の目で香水塔を見てもらいました。
香水塔は私が修復する前に一度修復されておりまして、それは平成元年に行われたのですが、その部分は目でキャッチしやすいので、そういう部分と、そうでない部分。
見る角度を変えながら…分かりやすいところから、修復痕を見ていってもらいました。光の当たる角度によって、見つけやすいところと、そうでないところがあります。
こんな風に修復というポイントから見るだけでも、より深く作品を鑑賞出来るのですよ〜いうこと、生徒さんたちに伝わっていたらいいなあ。
その他、修復にまつわるここだけトーク満載で(笑)香水塔をたっぷり楽しんで頂きました。
ちょっと盛り上がったのが…刻印探しです。
香水塔は国立セーブル製陶所が作ったもので、デザイナーのアンリ・ラパンのマークが付いているのですが…ちょうど2センチくらいの丸いデザインで…さてそれは香水塔のどこに付いているか。
ヒントは香水塔の胴部分(寸胴になっている部分、すぼまっている部分ではないところです) 皆さんも見に行く機会ありましたら是非探してください。くれぐれも結界(ガード)乗り越えないように(笑)
次は二階に上がって、北の間タイル(壁と床)の見学です。
今回は残念なことに、企画展の映像放映場所となっており、真っ暗だったんです(苦笑) 闇の中での見学とはなりましたが、多分、北の間タイルも、ここが修復箇所ですよ。と言わないと分からないので、一番分かりやすいところを説明しました。後日改めて訪問した時に楽しんで頂けたら…。
北の間タイルの修復を前週に模擬体験してもらいまして…みんなで床タイルの布目部分を作ってもらいました。
今どきのタイルはフラットなものが多い印象ですが、この建物が作られたときは、布に押し当てて布目の凸凹をつけたタイルも多かったそう。
身近なところでいうと木綿豆腐についている布目ですが…。
修復中、これをどう再現しようかというのは悩みどころではあったのですが、オリジナルのタイルから型を起こして、その型にカラーフィルのパテを充填して凸凹を作るという方法。

↑↑↑これは庭園美術館で実際に修復していた時の風景

↑↑↑教室では、実際に使った型にカラーフィルで充填して布目を作ってもらいました。
それを庭園美術館に持って行って、自分の作ったものと実物のタイルの凸凹や色を比べてみましょう、ということもやりたかったのですけれど…。お預けとなりました。
終わった頃には雨も上がっておりました。
担当の大井さん、こんな企画をご提案頂き本当に感謝です。私の中でもとても楽しい講座となりました。また皆さんと見に行けたらなあと思います。

↑↑↑大井さんと二人で(自撮り 笑)
Posted from いにしへの美を蘇らせる.