陶磁器(陶器・磁器)の破片を接着するときには陶磁器の性質に応じた接着剤を使います。
その前にですが、焼き物全体すべてひっくるめた言い方は、陶磁器が(Ceramics)正しいです。焼き物=陶器ではありません。
陶磁器の中にはいろんな種類がありまして、材料(土)、焼成温度、いろいろな要素で焼き物の種類が決まってきます。詳細はまた別の機会に譲るとしまして、磁器(porcelain)、炻器(stoneware)、陶器(erathenware)というように分類することができます。
例えば、骨董屋さんなどに行って、種類が分からない時「この陶磁器は…」と表現してください。「この陶器は」と指差したものが「磁器」の場合、間違いになってしまいます。「陶磁器」という言葉はすべてを含んでいますので、とても万能です。
陶磁器の修復においては、また、吸水性のないもの→磁器、炻器、吸水性のあるもの→陶器、で接着剤を選択します。
磁器のように、吸水性のないものは粘度が低くサラっとしており、厚みが出ないもの(他の条件として無色透明、適切な強度があるもの)が最適です。
陶器のようにさくっとして吸水性のあるものは、磁器に適するタイプのものだと素地に吸い込まれていってしまいます。また素地に気泡があったり、破断面に隙間が生じていることも多いため、ある程度粘度があって厚みを出せるものが適します。
それぞれを適切な比率で計量するのですが、そのときに必要となるのが精密ばかりです。
市販品のようにチューブから目分量で適当に計ってOKというものではなく、きちんと計量しなければ硬化しない特殊なものとなります。
工房いにしへが使っている、おすすめの精密はかり
精密はかりの上級モデル。Amazonで15,000円前後。工房いにしへではこちらをメインに使っています。
「精密はかり A&D HT-120」で検索してください。価格は安いものと比べて10倍しますが、10年以上使っていますが壊れず、信頼性もあります。
「精密はかり」「0.01g」で検索していろいろなものが出てきますが、工房でサブ的に、また出張時に使うというものはDIY工房いにしへでもお取り扱いしております。(1320円)全く問題ありません。
接着のコツ
接着するときのコツをざっくりとですが、お教えします。
●接着剤選び。工房いにしへおすすめのものを使っていただくのが確実なのですが。もし市販のものでということであれば、「可使時間が長いもの」=ゆっくり乾くもの。瞬間接着剤等、慣れない人が短時間で成功させるのは無理です。
●接着する前の破片は綺麗にしておく。(クリーニングのコーナーを参考にしてください)
●接着する前に、ポジションを確認。いきなり接着剤をつけて破片を合わせるのではなく、破片を接着剤をつけない状態で、どのような状態が一番ピッタリくるのか(修復ではキーのポジションと呼んでいます。カチっとはまる場所)を確認します。
●接着剤は必要最小限に=つけすぎない。接着剤はたくさんつければ、強度が出るというわけではありません。破片と破片の隙間が埋まるのに十分な量が、一番強度がでます。余分なものを付けるというのは、破片と破片の隙間がどんどん余分な接着剤で広がっていってしまいます。それは、強度が弱くなる原因の一つです。
●ゆっくり乾く接着剤を使うときは、仮止めのテープを使う。セロテープなどで完全硬化までの時間、破片と破片がずれないように留めておきます。
●仮止めの補助として、重力の力を使う。
以上ですが、やはり動画にしたほうが分かりやすいと思います。現在動画を鋭意作成しております。近日中にアップしますので、ぜひYoutubeのチャンネル登録をお願いいたします。(新しい動画をアップするとお知らせが行きます)